2026/04/17 21:47
果樹栽培を主軸としていた杉並スマートファーム(SSF)が、なぜムクナ豆を育てて販売することになったのか、今回はその経緯をお話したいと思います。
今回の主人公はAさん(女性)です。
Aさんは長年、薬剤師として医療業務にかかわってきました。
一人ひとりの患者さんの病状に寄り添い、症状をやわらげるためにできることを精一杯やってきました。
ところが、2020年に転機が訪れます。
コロナ禍をきっかけとして、咳止めや解熱鎮痛剤などが不足するだけでなく、物流停滞などに伴う供給不足により、これまで当たり前のように処方していた薬が手に入らなくなりました。
代替の薬を探したり、漢方薬で使えるものがないかを調べたり悪戦苦闘していましたが、無力感に打ちのめされる日々が続きます。
ついに限界を痛感したAさんは「自分で漢方薬をつくれないだろうか」と思い立ちます。
「農業を土づくりから学んで漢方薬をつくり、薬を必要としている人たちに届けたい」と。
Aさんは薬剤師として歩んできたレールから一旦はずれ、鯉淵学園農業栄養専門学校に入学し半年間、農業研修に没頭します。
ところが、そこでわかったのは、漢方薬をつくって認可を取るのがいかに難しいかということでした。
「これではとても、これからの自分の仕事としていくことはできない」と。
そんなとき、鯉淵学園で講師をされている藤井義晴先生(東京農工大学名誉教授)からムクナ豆(八升豆)の栽培をすすめられます。
ムクナ豆はL-ドーパを多く含むことから、パーキンソン病や認知症の分野で研究が進められています。
「これにかけてみよう」、Aさんは決意しました。
しかし、畑違いのAさんにとって新規就農というのはとても高いハードルです。
農業経験のないAさんが、農地を借りたり買ったりすることはできませんでした。
そんなとき杉並スマートファームの募集を見つけたAさんは、面接で「ムクナ豆をつくりたいんです」と訴えます。
それを聞いた鈴木会長が「やりましょう」と即決。
2025年春、SSFでムクナ豆プロジェクトが始まったのです。
